TOEICの「勉強法」を、Part1からPart7まで、それぞれのパート別に紹介します。
Part3と4の「先読み」がネットで探した方法でも上手くならない方。Part7を「早く・正確に読める」トレーニングをもっと具体的に教えてほしいと思っている方などに、お薦めの内容です。
TOEICの「勉強法」は、他のサイトでも紹介されています。しかし、本当に欲しい情報は探しても探してもみつかりませんでした。本当に欲しかった情報とは【 弱点を克服する方法を、もっと具体的に説明したもの 】です。
弱点を克服できる方法のいくつかは、実はネット上に出ていません。本当に欲しかった情報は、今回紹介する本の中にありました。その本には丁寧に作られた「音声」や「トレーニング材料」が付いています。それを見てみると分かりますが、ここまで作り込まれているものはブロガーさんが用意できるようなものではありません。なのでネット上に無かったのです。
「本当に困っている学習者に、弱点を克服させてくれる本」の情報を届けたいと考え、このページを作りました。『公式問題集』1冊と、今回紹介する教材を組み合わせて、最短での弱点攻略を果たして下さい。
一気に全部読もうとしなくて大丈夫です。ブックマークしておいて、後でお目当てのPartを見に来てください。
Part1のトレーニング
試験本番でPart1が楽勝だといい流れのまま先へ進めます。ということで、Part1で全問正解するためのトレーニングを紹介します。以下の手順で進めていって下さい。
Step1:音声が流れる前に、写真を見て、その写真の目立つ要素に注目。『おじいさんが居るな。座って本を読んでるな。ここは公園かな?』ぐらいでOKです。
Step2:慣れないうちは「頭の名詞」だけでも聞き逃さないようにします。慣れてきたら頭の名詞だけでなく、次の「動詞」まで聞き逃さないようにしましょう。動詞の次の「目的語」まで聞いて、状況が瞬時にイメージできるまでを目指します。
3回聞いて分からないものは、何度聞いても分からないものです。時間をかけすぎないようにして、すぐStep3へ進んで下さい。
Step3:直ぐに答えを見て、自分はどんな弱点があるのかを見つけましょう。「単語動詞の音が繋がりすぎ」て全く意味不明だった場合は、『英語耳』の第5章「音声変化編」を読み、その後もう一度聞いてみましょう。
音は捉えたが、なんの単語か分からなかった場合は、単語を覚える際に「発音」も一緒に覚えなかった事が原因です。
何の単語かは分かったが、瞬時に意味が分からなかった場合も、単語力が低いことが原因です。知っている単語でも、瞬時に意味が浮かべることができなければ「覚えた」とは言えません。
私は以下の画像のように弱点ごとに「色分け」しました。黄色は瞬時に意味をイメージできなかった箇所、緑は音が繋がって全く理解できなかった箇所、ピンクは意味を誤解してしまった要注意な箇所です。
復習するときは、これらの弱点を意識してとりくみました。そうすることで短期間でPart1は満点を取れるようになりました。
Part1は、単語を「知っているかどうか?」が重要になります。Part1に「頻繁に出る単語」というものがあり、それを覚えておくだけでもスコアが上がります。『銀のフレーズ』と『金のフレーズ』には「パート1重要語」が載っています。
「人が写っていない写真」が毎回登場します。このような写真を見たら『お、これは難しい問題がくるぞ!』と慎重になり、音声が流れる前に目立つ物を英語にしておきましょう。
上の写真を例にすると。音声が流れる前に『一番目立つのはパラソルだな。parasolかumbrellaかな。次に目立つのは机と椅子だな。tableかdesk、それとchair』と英語で表現しつつ、脳内にその音を響かせておくと余裕を持ってリスニングできます。
動詞が「受け身」か「受け身でないか」まで捉えられたら言うことなしなのですが、出来るようになるまでPart1に時間を割くのはお薦めしません。できなくても満点は取れますし、Part2とPart3+4でトレーニングを積めば自然と出来るようになります。
Part2のトレーニング
Part2のトレーニングで有名なのは「リッスン&リピート」です。これは「1つのセリフの音声が流れ終わった後に、それを何も見ずに真似して声に出す」というトレーニングです。これを400点台の方にやってもらったところ『難しい』ということでした。Part2には長いセリフが出てくるので、それをリッスン&リピートするのは難しいです。そこで、もう少しやさしいトレーニングから始めてみましょう。
音声を聴き終わったら「答え」を見て、以下を意識して声に出していきます。
・話している人の気持になる
・そのセリフが使われている「状況」をイメージする
1回1回「自分の声の音」と「気持ち」を一体化させていくように意識します。単に声に出すだけでは、あまり効果がでません。その音声を聞くと自動的にその気持になることができていれば完璧です。
①Part2に出てきた「5W1Hの疑問文」だけやってみましょう
What~
Who~
When~
Where~
Which~
How~
②次に、普通の疑問文をやってみましょう
Did you ~
Could you ~
Can I ~
など
③次に、残りの文をやってみましょう
以下のページで書いた『瞬間英作文トレーニング』を頑張った方は、Part2の上達が早いです。Part2が苦手な方は、一度取り組んでみるのをお薦めします。
ここまで出来るようになったら「リッスン&リピート」のトレーニングに移行してください。このときも「自分の音」と「気持ち」を一体化させて下さいね。
Part2を得意なパートに変えたい方は『英語屋直伝メソッド 弱点完全克服リスニング』を強くお薦めします。この本の55ページには、このような訓練素材があります。
(英語の音声で)『Would you hang the sign here?』
(日本語の音声で)『依頼』
(英語の音声で)『Would you like me to hang the sign here?』
(日本語の音声で)『申し出』
と英語と日本語の音声がセットになっているものが8つ、順不同で再生されます。5W1Hの疑問文は簡単だと感じ、「普通の疑問文」を苦手だと感じる人は多いでしょう。私はこの訓練素材を使って、この弱点を克服しました。
Part2は、一番スコアが上がりやすいパートですが、満点や高得点を取ろうとすると、一番難しく感じる不思議なパートです。完璧に1文1文『聞き取らなければ』と思わず、3つの選択肢から「消去法」で正解を選ぶという方法も遠慮せず活用して下さい。それで正解できることも、立派な英語力です。
Part3とPart4のトレーニング
Part3とPart4のお薦めするトレーニングは、この3つです。
- 音読
- 「先読み」のトレーニング
- 言い換え表現を増やす
最初に、❶「音読」について説明します。単に「音読」するわけではありません。以下の手順のように進めて下さい。
Step1:音声だけ、集中して聴きます(3回まで)
Step2:すぐに英文を見て、自分の弱点を見つけます。
・全く捉えられなかった
・音は捉えたが、なんの単語か分からなかった
・何の単語かは分かったが、瞬時に意味に結び付けられなかった
3つの弱点を、このように色分けしてもいいでしょう
Step3:日本語訳を見て、英文を正確に理解します【精読】
このとき、文法も細かくチェックすると力になります。
Step4:音声を、英文を見ながら聴きます
Step5:音声を、目を閉じて聴きます【精聴】
Step6:【音読】
喉が痛くなるなら、口はハッキリ動かしつつ小声でもOKです。
移動中や家事などで「ながら聴き」するときは、Step6まで仕上がった音声を聴くようにしてください。聞いて半分以上理解できない音声を「ながら聴き」しても効果はほとんどありません。
次に❷「先読み」について解説します。
「先読み」は、お手持ちの『いきなり600点』でも解説されています。
この方法を普段のPart3とPart4を解くときにおこないます。この「先読み」にはリーディング力が必要です。『え?リスニングのパートなのに?』と思われたかと思いますが、Part3と4はリーディング力も必要なパートなのです。600点以下のときには「先読み」がうまく出来ず嫌な気分になってしまかもしれませんが、「先読み」は難しいものなので、気を落とさないでください。
何度やってみても『やり方は分かったんだけど、上手くやれている気がしない』と感じた人は『英語屋直伝メソッド 弱点完全克服リスニング』をやってみましょう。このような「先読みの訓練素材」がついています。
先読みをするタイミングなどがこと細かく解説されて、タイミングを教えてくれるピー音まで音源に入っています。私はこれを使って何度か練習をしたら「先読みのリズムが崩れる」ということも無くなりました。
最後に、❸「言い換え表現を増やす」について説明します。Part3と4では頻繁に「言い換え」が行われます。例えば、音声では「stock」と言っていたが、紙に書かれた選択肢には「inventory」と言い換えられているように。
この『英語屋直伝メソッド〜』には、このように「言い換えストックを増やす」ためのリストも付いてきます。
『英語屋直伝メソッド〜』には、Part2の弱点を克服するための訓練素材も入っています。この本と似ているTOEIC本を今まで見たことがありません。とことん「受験者の困った」に答えてくれている本です。
TOEICは2016年5月に新形式になりました。この『英語屋直伝メソッド』は2012年発売で旧形式のときの本になりますが、新形式でも通用するので、今買っても問題ありません。新形式対応版が出ていない状況なので、近々入手困難になってしまうかもしれないので、そこだけ注意ですね。
Part5のトレーニング
前回、Part5の解き方は『文法特急』で早めに身につけたほうが良いと書きました。
その解き方で、公式問題集のPart5を『早く・正確に解く』トレーニングを行います。試験本番で、Part5を「10分以下」にできると、Part6と7がグッと楽になります。
1回目は、10分で解いて、全問正解
2回目は、 8分で解いて、全問正解
3回目は、 5分で解いて、全問正解
を目指してみてください。
既に答えを知っていますが初めて解く気持ちになって。
まずは「選択肢」を見て、どのアプローチで解くか?を高速で判断し、解く。
これを繰り返すとムダのない動きが出来てきます。これが身についたらPart5は安定して高スコアが取れるようになります。
300点台~500点台の方へ
最初は「Part1と、Part2、Part5」の3つだけに絞ってトレーニングすることをお薦めします。この3つは「短期間で、スコアを上げやすい」からです。
Part6のトレーニング
Part6は、最も厳しいパートだと思います。問題が難しいというよりも、時間がないためです。Part6は「8分」以内で通過したいのですが、その時間内に全問解くのは大変です。
Part6のトレーニングに「これ!」というようなものはありません。
Part7のトレーニングで、
・単語力
・正確に読める力
・早く読める力
・書かれている内容を一時的に脳に保管できる力
・文書ごとのパターンを知っていること
を高めていってください。その力がPart6でも発揮されます。
『Part6が苦手!』と感じたら、以下の原因を検討してみてください。
① 文法にこだわってしまい読むのが遅い
② 空欄前後を見ただけで解いてしまう
③ 「文挿入問題」に時間がかかる
①の方は、Part6を読み始めたら「この文書が何なのか?」を早めに捉えるようにしてください。1つ1つ「文法」を確認するよりも、文書の内容と流れに意識した方が点数は上がります。
②の方は、「動詞の時制問題」と「代名詞問題」が出てきたら『空欄前後で解いてしまうと危険だよと』自分に言い聞かせてください。この2つの問題は頻繁に出てきます。この2つの問題は、文書に書かれた出来事の「時間軸」と「登場人物」を整理しながら読んでいく癖をつければ簡単に解けるようになっていきます。
③の「文挿入問題」とは、以下のような1文まるごと空欄に入れる問題です。
この「文挿入問題」が苦手な方は、第一印象で『これ』と思ったものにマークして急いで先に進むようにしてください。その感覚が正しいことが多いですし、そこで時間を使うよりもPart7で使ったほうが点数は上がるからです。
Part6は「遅くても10分以内に通過する」これだけは守るようにしてくださいね。
Part7のトレーニング
本番では、Part7に到着ときに「55分」以上は残しておきましょう。そして、Part7は「176」から解くようにしましょう。
「176」から始まる「多文書問題(マルチパッセージ)」を疲れていないうちに、時間の余裕があるうちに解いたほうが精神的に楽だからです。終了時間が迫ったなかで、マルチパッセージを見て、気負けしてしまったという経験があるなら、この方法はお薦めです。
このマルチパッセージ問題は、英語の文字数が多く『難しそう』と感じてしまうかもしれませんが、実はそこまで難しくありません。
「176」から「200」まで解いたら、「147」に戻って解く。
800点を超えるのに「172~175」を無理に解く必要はありません。この4問が最も難しいことが多いので、それ以外の「分かる・解ける問題」を確実に取りに行きましょう。
それでは、Part7のトレーニングの話に入ります。
・単語力
・正確に読める力
・早く読める力
・書かれている内容を一時的に脳に保管できる力
・文書ごとのパターンを知る
「単語力」は、今までと同じやり方で伸ばしていってください。単語を見て瞬時にイメージできるところまでを目指します。
次に「正確に読める力」「早く読める力」を上げるトレーニングです。
Step1:時間を気にせず「ゆっくり」読みます。このとき「返り読み」は絶対にしないでください。返り読みしなくても理解できるスピードで読みます。綺麗な日本語に直そうとしないで、左から右へと目を動かして、その順番のままイメージしていきます。
Step2:答えとなる「日本語訳」を見ます。訳を見て、自分の解釈と比較します。このとき自分の弱点が判明します。【精読】
・意味が掴めない
・初めて見る単語
・単語は知っているけど、この文の中だと分からない
・文の構造が分からない
これらの弱点をマーキングして復習に活かすのもいいでしょう。
Step3:精読が済んだら、もう一度読んでいきます。理解できることを最優先にしながら、読むスピードを毎回少しだけ上げていきます。ストップウォッチを使って緊張感を出すのもお薦めです。何度か読むと、刺激が無くなって効率が落ちるので「音読」に切り替えてみましょう。『雑になっているな』と感じたら、スピードを落として「初めて読んでいるという気持ち」で丁寧に読みましょう。
1つの文書を読むだけで、疲れてしまう方へのアドバイスです。「英語を読んで、日本語訳を読む」という行為は疲れる作業です。自分の英訳が正しかったか気になって、どうしても日本語訳を見たいという気持ちは分かります。Step1の精読では、この作業が必要ですが、Step2からは英文だけ見て理解するようにしていきましょう。復習のときも、英文だけみて学習できるようになっていくと、疲れにくくなっていきます。
次に「書かれている内容を、一時的に脳に保管できる力」を上げていきましょう。Part7の「設問」を使います。
「本文」を読む前に「設問」を読みます。英文を暗記する必要はないので、質問の内容を、瞬時に理解して、脳に保管してみてください。その状態で本文を読んでいきます。(A/B/C/Dの「選択肢」まで無理に記憶しなくて大丈夫です。「設問」だけ確実に一時保管しましょう)
設問の「意図」を正確に理解しながら、本文を読み進められていますか?これが最初から出来る人は少ないと思います。日常生活で、このように「質問」が与えられて、文書を読むことなんて滅多にしませんからね。ということで、しっかりトレーニングしておきましょう。
最後は「文書ごとのパターンを知る」ことです。
Part7には「メール」「手紙」「チャット」などお馴染みの文書が登場します。TEST1の「メール」とTEST2の「メール」を比べてみて下さい。内容は違っても「構成」は、だいたい同じですよね。社会人で「読みやすく、失礼のないメール」を書こうとしたら、みんな似てきます。英語のメールも同じです。珍しい構成のメールは、TOEICには登場しません。
「チャット」もパターンがあります。最初に1人が問題を持ちかけて、それを皆で解決案を出し合って、お礼を言って、次に何をするかをほのめかして終了。「記事」や「チラシ」のパターンは掴みづらいですが、これらだってパターンはあります。
実は「パターンを知っている」と答えやヒントの場所が、少し読んだだけで予想できてしまいます。必ず全文に目を通しますが、この「答え・ヒントの位置」が分かっていると、選択肢との照合作業が短くて済み、結果としてスコアが上がります。
以上になります。
私は、いきなり「洋書の多読」を始める前に、Part7で「読むフォーム」を身につけて良かったと思っています。そうでなければ「いい加減な読み方」をずっとしていたと思います。先生がいなくても泳げるようにはなりますが、教えてもらったほうが、エネルギー効率もよく、呼吸もしやすい泳ぎ方になりますしね。
これで全てのトレーニングの紹介が終わりました。
お疲れ様でした!