・過去問を踏まえた、お薦めの「対策本」
・青本赤本どちらを買えばいいのか分かる
・『受験料高かったけど受けて良かった』と思えるようになる
『G検定』と名付けられている本と、公式の「推薦図書」の本を足すと、10冊以上の本があるので、どれを買えばいいのか悩んでしまうと思います。
お金をかけない「教材選び」と、満足して試験本番を終えるための「取り組み方」を紹介します。
G検定の対策は、この3冊
結論から先に書きますね。この3冊を買って勉強するのがお薦めです。
①『G検定 公式テキスト』(白本)
②『徹底攻略 ディープラーニングG検定 問題集』(黒本)
③『これ1冊で最短合格 ディープラーニングG検定 要点整理テキスト&問題集』(赤本)
私は過去8回の試験を受けて、そのうち7回合格してきました。2019年からは、試験本番の問題を全て書き出し、問題の傾向を調べています。その一部はリストになって、このサイトに掲載されています。
2020年10月現在、出版社から発売されている「G検定 対策本」は6冊あります。そのうち、先程お薦めした3冊に加えて、青本と呼ばれる『スッキリわかる ディープラーニングG検定(ジェネラリスト) テキスト&問題演習』を加えた4冊は、直近の7月試験で活用された人が多いと思うので、この4冊に絞って『どれを買えばいいのか?』という疑問に答えていきたいと思います。
最近発売された、以下の2冊と、
■要点整理から攻略する『ディープラーニング G検定 ジェネラリスト』
■最短突破 ディープラーニングG検定(ジェネラリスト) 問題集
10月に始まったオンライン模擬試験「DIVE INTO EXAM G検定 模擬試験」については、11月試験が終わった後に、レビューしたいと思います。
(私は、11月の試験をこの新刊2冊と模擬試験だけで挑んでみようと思います)
赤本 VS 青本【比較表】
私は今まで、白本と黒本、推薦図書6冊、合計8冊をお薦めしてきました。G検定は受験料が高いので、対策本の出費は出来るだけ抑えたい人も多いと思います。なので今回は、購入する本を「3冊まで」に限定することにしました。
3冊に絞る上で、以下を条件としました。
・AIを始めて学ぶ為の「入門書」
・問題を解く練習をするための「問題集」
・最新の出題傾向を踏まえた「対策本」
この条件に、先程お薦めした3冊がぴったり当てはまります。
AIについて少しだけ勉強したことがある人は、赤本と黒本の2冊だけで十分です。この2つをサラッと読んでみて、理解が難しければ、白本を買うという順番でもいいでしょう。
白本と黒本は、迷わず購入される方が多いのですが、3冊目に「赤本」と「青本」のどちらを買うべきか?迷う人が多いようです。
ズバリ、「赤本」を買いましょう。
以下の表を見てください。
2020年に出題された約400問の中から、白本だけでは正解しづらい問題に絞り、さらに、黒赤青の3冊全てでカバーされている問題を除外したリストになります。
▲=単語は載っているが、十分な解説が無い
●=解説がある(◎=しっかり解説されている)
問題 | 黒本 | 赤本 | 青本 |
数学・統計・情報理論 | ● | ● | |
ベイズの定理 | ● | ||
自然言語処理の注意機構 | ● | ▲ | |
構文解析 | ▲ | ◎ | ● |
照応解析 | ● | ● | |
談話構造解析 | ● | ● | |
分散表現 | ● | ||
LDA | ● | ● | |
LSI | ● | ● | |
fastText、ELMo | ▲ | ▲ | |
BERT | ● | ● | |
Transformer | ● | ||
隠れマルコフモデル | ● | ● | |
WaveNet | ● | ● | |
強化学習 A3C | |||
価値関数ベース、方策関数ベース | |||
行動価値関数Q | ▲ | ▲ | ● |
方策勾配法 | ▲ | ||
価値反復法 | ▲ | ||
マルチモーダル | ● | ● | |
t-SNE( t分布 ) | ● | ||
イアン・グッドフェロー | ● | ● | |
VAE | ▲ | ▲ | |
UNet | |||
R-CNN | ● | ● | |
OpenAI Gym | ▲ | ||
対数オッズ | ● | ||
スラック変数 | ● | ● | |
ステップ関数 | ▲ | ● | |
ワンショット学習 | |||
情報利得の最大化 | ● | ● | |
ボルツマンマシン | ● | ||
エポック、イテレーション | ▲ | ● | ● |
DQN→AlphaGo→AlphaGoZero→AlphaStar | ● | ||
データ量を大きい順で並べる(PB→EB→ZB→YB) | ● |
毎回、試験に出ている「エポック、イテレーション」は、赤本に解説がありますが、白本と黒本には詳しい解説がありません。
赤本には載っていないが、青本に載っているものとして「方策反復法・価値反復法」がありますが、青本の説明だけでは、試験の問題は解けませんでした。このキーワードをもとにネットで調べて、理解を深めておく必要がありました。
こういう問題は、試験本番で『検索しよう』としても、答えにたどり着くまでに時間がかかるので、諦めるしかありません。
赤本の優れている点
Amazonで、売れていて、レビュー数も多いのは「青本」の方です。
青本は、内容が良くて売れているというよりも「見た目」で売れていると考えています。G検定対策本の中では一番 表紙が目立ちますし、中身は余白が適度にあり、読みやすいです。それに比べて、赤本は文字を詰め込みすぎた印象を受けます。
比較するときに、片方に肩入れしすぎるのは嫌いなんですが、もう少しだけ「赤本」の優れている点について紹介します。
1,実際の試験問題に関わっている「浅川伸一さん」が監修
2,「数学・統計・情報理論」が、少ないページ数で、分かりやすく解説されている
3,2020年前半までの、新しく重要なトピックを、出来るだけ多く載せようとしている
浅川さんが書かれた「あとがき」には、このように書かれています。
本書には、監修者の特権で半ば強制的に書き換えをお願いした部分が少なからず存在する。それは上述の新しい話題を加えていただくことと、G検定を受験する方々に知っておいていただきたいバランスを考慮してのことである。
(赤本は当初、2019年11月12日発売とアナウンスしていました。出版社としては、11月9日の試験前に発売して売上を伸ばしたい計画もあったと思います。さらに悪いことに、発売が延期となり、翌年の3月25日に発売されました。つまり、2020年3月14日の試験にも間に合わず関係者は辛い思いをしたんじゃないかと思います。これは、浅川先生の鶴の一声が原因だったのでは?と想像しています)
お薦めの取り組み方
白本を読む → 試験に出た問題リストをチラ見する → 赤本を読む → 黒本の問題を解く(1周目を終えて、ほとんど理解できていないと感じたら、もう1周繰り返す)→
→ 再度、問題リストを見て、理解度が低いと感じたところをネットで検索して、理解できるまで調べる →
→ 多くの受験者が苦手とする「法律と倫理」問題は、個人情報保護、匿名加工情報、自動運転、知的財産権、著作権、GDPR、ドローン飛行規制、道路交通法改正を、重点的に調べる
※2020年11月の試験は、公式から「191問」と予告されています。昔は220問以上あり、徐々に問題数が減ってきています。1問1問考えさせる問題、理解度が試される問題が、ますます多くなっていくと思います。
私の周りの合格者の平均勉強時間は、30時間以上でした。日本ディープラーニング協会の人も、30時間以上 勉強すれば合格できると話していたので、この数字はある程度参考になりそうです。
G検定は「合格する事自体は、簡単」なので、単に合格を目指しては、支払った金額に見合う「満足度・価値」を得ることは、できないと思います。
試験事務局が行ったアンケートによると、『受験した理由はなんですか?』については、「自己投資として」「AIを学習するためのモチベーションとして」と答えた人が8割以上もいました。
私も、G検定で勉強して良かったと思う理由は、単語の暗記で終わらずに、人に説明できるぐらい理解をしてから試験に臨むことで、強い達成感を感られたこと。そして、合格後もモチベーションを持ち続けられて「自分のビジネスに活用」しようと動けたからです。
今後、発売される「教材」に望むこと
G検定の「大きな傾向」として、自然言語処理・強化学習・物体認識などの問題が多くなってきています。これらは、文字だけで理解するのが難しいので、「本」ではなく「動きのある解説アニメーション」のような動画が、教材として適していると思います。
私はまだ、そのような解説アニメーション付きの教材・講座を見つけていません。見つかり次第、紹介したいと思っています。(もしご存知の方がいらっしゃいましたら、教えてもらえると嬉しいです)
試験間近の方も、来年受験を考えている方も、今からでも遅くないので、「内容を理解する」ことに時間を使って、試験本番の満足度を上げていきましょう。