人工知能

あなたに合った「人工知能の入門書」を探そう

16冊のAI入門書

『○○入門』『はじめての○○』という本は多く発売されています。人口知能(AI)の入門書も数多く売られています。

しかし・・・・AIの入門書は、他の入門書と違うんです。

「Windows」の入門書は、多くの出版社から発売されていますが、教えてくれる内容も順番も、どの本も似通っています。「ブロックチェーン」の本が多く発売されたときに、6冊ほど入門書を読みました。どの入門書も似通っていました。

AIの「入門書」は、どうでしょうか?
やたらバラエティ豊かです。

『どの入門書を買っても、同じだろ?』と思い込んでしまい、中身を見ずに買ってしまうと『うわぁAI難しい。つまらない』となってしまうミスマッチが起こるかもしれません。いや、既に起こっているかもしれません。実際、「○○超入門」というタイトルを付けているのに、中身は予想と大きく違ったという本もいくつかありました。

全く人工知能についての知識が無い方、AIについて「短時間に、ざっくりでも大枠を理解したい」という方、G検定に興味があるがまずはAIの基礎を知りたい方へ向けて、本当の入門書を紹介します。

今回、多くのAI入門書の中から、16冊をピックアップしました。
あなたの希望にマッチする入門書が見つかるようにと、それぞれの特徴をまとめます。

今回「対象外」にした本について

16冊の入門書の紹介に入る前に、「今回、候補から外した本」について手短に説明します。

今回の目的が「あなたの希望や予想と違う本を買ってしまうことを防ぐ」ことでもあるので、タイトルだけ読んで『これは自分のレベルに合ってない』と判断できる本は、候補から外しました。

例えば、こういった本です。
『Pythonではじめる機械学習』
『Excelでわかるディープラーニング超入門』
『TensorFlow開発入門』
『仕事ではじめる機械学習』
『ITエンジニアのための機械学習理論入門』
『ディープラーニングが分かる数学入門』
など

サブタイトルや、本の帯の情報まで見れば、ミスマッチを防げる本も候補から外しました。
『機械学習入門 ボルツマン機械学習から深層学習まで』
『これらならわかる深層学習入門』(帯に『理論を初めて学ぶ人はもちろん、今度こそ理解したい人のために』と記載されています)
など

急いで補足すると、上記本が良くないということではありません。あくまで「AIの知識がなく、AIの大枠を知りたい方向けの本ではない」という理由で候補から外したということです。

実は、「AIに興味があるんですけど、何の本から読めばいいですか?」という相談を受けたときには、以前は松尾先生の『人工知能は人間を超えるか』を薦めてきました。しかし、『難しい』という感想が多かったので考えを改めることにしました。『人工知能は人間を超えるか』は名著ですが、発売が2015年3月と古い点も考慮しています。(AlphaGoが囲碁でイ・セドル棋士に勝った歴史的な出来事は2016年3月です)

そして、超初心者向けの動画とウェブサイトを探し、NHKの『人間ってナンだ?超AI入門』がいいんじゃないかなと考えて薦めてみましたが、全体像を把握するのに、週に1回の放送だと、これはこれで不便です。

全体像を短時間で知るには、書籍はまだまだ便利です。そこで入門書を買いこみ、数ヶ月かけて読み、分類していくことにしました。

それでは、発売が新しい本から順番に、16冊の特徴を見ていきましょう。

 

『ビジュアルAI 〈人工知能〉』

ビジュアルAI
タイトル 『ビジュアルAI 〈人工知能〉』
著者 城塚 音也
発売日 2019年 3月
価格 1,080円
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170ページ。文章は左ページだけなので実質85ページ程。短時間で読み切ることができます。16冊の中で一番新しい本です。AIの基礎、AIが出来ること、現在の活用事例、AI活用時の問題点、AIの未来、AIサービスの作り方までをカバーしています。まさに入門書らしい入門書です。ビジネスパーソンを読者対象にしているので、自分の仕事とAIを考えたい方にとってもお薦め。全てのページに図解が付いていて、理解しやすくなるように構成されています。

 

『AI入門講座』

野口先生のAI入門
タイトル 『AI入門講座』
著者 野口 悠紀雄
発売日 2018年 11月
価格 1,944円
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図解は少ないですが、野口先生が噛み砕いて説明してくれているので理解しやすいと思います。ジャーナリスティックに社会とAIを考えてみたいという方に向いている本です。逆に、ジャーナリスティックに切り込み過ぎていて、AIから離れて未来社会の考察へ進んでいくので『今のAIの活用事例を多く知りたい』という方には物足りないかもしれません。AIにできること、AIにおけるデータと過学習、AIがつくる未来社会などの他に、まるごと1章使って「中国の問題点」が書かれています。これは他のAI入門書には扱われていないので、興味がある人にはお薦めです。第5章では「回帰分析・ランダムフォレスト・サポートベクターマシン・ベイジアンネットワーク」なども取り上げていて、作者の『AIを知るなら、これぐらいの原理は抑えておいてね』という思いが伝わってきます。しかし、この部分は初学者の方には難しいと思うので『G検定 公式テキスト』を読んだ後にでも戻ってくるといいでしょう。

 

『60分で分かる!ディープラーニング最前線』

DL最前線
タイトル 『60分で分かる!ディープラーニング最前線』
著者・監修 ディープラーニング研究会・関根 嵩之
発売日 2018年 11月
価格 1,188円
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159ページありますが、文章は左ページのみなので、実質80ページもなく短時間で読み切ることができます。全編カラーページで、写真と図解が多く眺めているだけでも楽しいです。ディープラーニングの基本と仕組み、ソフトウェアやハードウェア含めたディープラーニングの開発について、現状の導入事例と未来への展望について書かれている。ディープラーニングについて、細かいところには深く踏み込まずに、広く浅く、それでいて面白みのあるところはキッチリ教えてくれます。『ビジュアルAI 〈人工知能〉』のようなビジネスパーソン向けの本ではないので真面目すぎず、読み物として楽しみたいという方にはこちらがお薦めです。AIの歴史や、ディープラーニング以外の手法について詳しく知ることはできない点に注意してください。

 

『人工知能と友だちになれる?』

AIと友達になれるか
タイトル 『人工知能と友だちになれる?』
監修 新井 紀子
発売日 2018年 6月
価格 1,296円
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全編カラー。『AI vs.教科書が読めない子どもたち』の新井紀子さんが監修している、子供向けの本です。しかし、子供向けの本と侮れない内容になっています。AIの入門書として抑えるポイントはしっかりカバーしています。マンガも面白いです。図解も分かりやすく、用語解説も充実しています。子供にこの情報量は厳しいのではないかと心配になってしまうほど内容は充実しています。全ての漢字にふりがなが書かれていて、大人には読みづいのが難点です。

 

『ビジネスパーソンのための人工知能入門』

ビジネスパーソンのための人工知能入門
タイトル 『ビジネスパーソンのための人工知能入門』
著者 巣籠 悠輔
発売日 2018年 5月
価格 1,998円
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この本は、タイトルだけで買ってしまうと「ミスマッチ」が起こる可能性があります。これはG検定の「推薦図書」の一冊になります。この本はタイトルが内容と合っていない点を除けば、とてもいい本です。この本の良さに気づかずスルーしてしまうのは勿体無いです。詳しくはこちらで紹介していますので、読んでみて下さい。

G検定の勉強法キャッチ画像
G検定の勉強法※2021年6月20日:新シラバスに対応した「最新の勉強法」を公開しました ディープラーニング・ジェネラリスト検定...

 

『マンガでわかる!人工知能 AIは人間に何をもたらすのか』

松尾先生監修マンガでAI
タイトル 『マンガでわかる!人工知能 AIは人間に何をもたらすのか』
監修、イラスト 松尾 豊、かん ようこ
発売日 2018年 5月
価格 1,404円
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マンガ→解説文、マンガ→解説文が繰り返される構成。松尾先生が監修を担当しています。知っておきたいAIの知識はしっかりカバーされています。『マンガでわかる人工知能』の方は、マンガよりも文章ページの方が多いのですが、こちらはマンガのページ数が多く『文章を読むのが苦手』という方に向いています。最初の1冊としてお薦めできます。

 

『いちばんやさしいAI〈人工知能〉超入門』

一番やさしいAI入門
タイトル 『いちばんやさしいAI〈人工知能〉超入門』
著者 大西 可奈子
発売日 2018年 3月
価格 1,706円
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「超入門」というタイトル通り、AIの原理を知るための1冊目としてお薦めできる本です。「AIのキホン」と「AIのシゴト」の2つに別れていますが、本の3分の2近くが「AIのキホン」に割かれていて、ここではAIの基本的な役割と原理が、とても分かりやすく解説されています。図解も多く、入門書としての配慮が行き届いています。AIの活用事例や、AIにまつわるニュース情報を期待してしまうと物足りなさを感じてしまうので、この点だけ注意してください。

 

『最新 図解で早わかり人工知能がまるごとわかる本』

早わかりAI入門
タイトル 『最新 図解で早わかり人工知能がまるごとわかる本』
著者 田口 和裕、森嶋 良子
発売日 2017年 10月
価格 1,706円
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図解と写真が大量に使われていて理解しやすい構成になっています。AIの基礎と最新動向、AIの活用例や、企業の取り組みといった入門書として知りたい情報はしっかりカバーしています。この本がうまいなと思ったのは「AIの技術・仕組み」を最後の章に持ってきている点。どうしても難しい話をしなけばならないAIの本としては、この順番が理想かもしれないなと思いました。この本で取り扱っている「AIの技術」は、ほんの一部だけなので物足りなく感じる人もいると思いますが、入門書としてはこれぐらいが丁度いいとも思います。

 

『マンガでわかる人工知能』

マンガでAI
タイトル 『マンガでわかる人工知能』
著者、作画 藤木俊明、山田みらい
発売日 2017年 7月
価格 1,620円
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マンガと解説文、インタビューという構成。今回紹介する16冊のうちの「2冊」がマンガを採用しています。マンガのお陰で抵抗なく本に入っていけるという人も多いですしね。AIの歴史や、AIの原理などについては軽く触れるにとどめ、現在のAIが仕事や生活にどのような影響を与えているのか、未来はどうなってしまうのかといったことを中心に解説されています。短時間で読み切れると思います。入門書といてオーソドックスな内容です。

 

『イメージでつかむ機械学習入門』

イメージでつかむ機械学習入門
タイトル 『イメージでつかむ機械学習入門』
著者 横内大介、青木義充
発売日 2017年 8月
価格 2,527円
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この本は、タイトルだけで買ってしまうと「ミスマッチ」が起こる可能性があります。この本は、AIに興味を持った後、G検定を通して本格的に勉強したいとなった方にお薦めしたい本です。具体的に言うとG検定の推薦図書である『深層学習』と一緒に読みたい本になります。

 

『60分でわかる! 機械学習&ディープラーニング超入門』

60分で分かる機械学習
タイトル 『60分でわかる! 機械学習&ディープラーニング 超入門』
著者 機械学習研究会、安達章浩、青木健児
発売日 2017年 4月
価格 1,058円
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『60分で分かる!ディープラーニング最前線』と同じ、技術評論社から出ている本です。この2冊は、どちらも入門書として適していますので、パッと見の好みで購入して問題ないと思います。全編カラーで小さく薄い本です。多くの人のニーズに合う本だと思います。

 

『AI(人工知能)まるわかり』

まるわかりA!
タイトル 『AI(人工知能)まるわかり』
著者 古明地正俊、長谷佳明
発売日 2017年 3月
価格 929円
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写真や図解は少ない文庫本です。AIによって変化する経済と生活に多くのページが割かれています。「AIは人間の仕事を奪うのか」「日本に勝機はあるのか」などAIそのものというよりも、未来社会についての考察を楽しみたい方にお薦めです。AIの歴史や技術面については軽く触れられているだけなので、ここを詳しく知りたい方は別の本を検討するといいでしょう。

 

『ビジネスパーソンのための 決定版 人工知能 超入門』

ビジネスパーソンのための人工知能超入門
タイトル 『ビジネスパーソンのための 決定版 人工知能 超入門』
著者 東洋経済新報社
発売日 2016年 11月
価格 1,404円
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この本は、タイトルだけで買ってしまうと「ミスマッチ」が起こる可能性があります。全112ページの薄い本です。この本は「超入門」と書いてありますが、ディープラーニングの基礎的なことが1ページだけ書かれているだけで、残りは日本企業と海外のAIの取り組みの紹介記事になります。AIの概念にはあまり興味はなく、ビジネスの世界でのAIの事例を知りたい方にはお薦めです。しかし、AIを取り巻く状況はどんどん変わっているので、出来るだけ新しい本を選ぶことをお薦めします。

 

『絵でわかる人工知能 明日使いたくなるキーワード68』

絵でわかる人工知能
タイトル 『絵でわかる人工知能 明日使いたくなるキーワード68』
著者、イラスト 三宅 陽一郎、森川 幸人
発売日 2016年 8月
価格 1,080円
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第1章から13章まで大まかな流れはありますが、どちらかというと用語解説辞典のような本です。扱われている内容は幅広く、入門書としては少し情報量が多いかなという印象ですが、手書きイラストが多く付いているので、無理なく読み進めていくことができます。薄く小さい本なので、持ち歩いてスキマ時間に1つずつ読んでいくのにピッタリな本です。

 

『人工知能がよ~くわかる本 人工知能の最新動向を基礎から学ぶ』

人工知能がよーく分かる本
タイトル 『人工知能がよ~くわかる本 人工知能の最新動向を基礎から学ぶ』
著者 神崎 洋治
発売日 2016年 7月
価格 1,728円
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『最新図解で早わかり人工知能がまるごとわかる本』のように図解と写真が多く載っていて理解しやすい作りになっています。『最新図解で早わかり~』と大きく違う点は、AIの技術の解説に多くのページを割いているところです。AIの原理や本質にも触れたい方は、この本を選ぶといいでしょう。AIを取り巻く状況を幅広く知りたい方は『最新図解で早わかり~』を選ぶといいでしょう。

 

『東大准教授に教わる「人工知能って、そんなことまでできるんですか?」』

人工知能ってそんなことまでできるんですか?
タイトル 東大准教授に教わる「人工知能ってそんなことまでできるんですか?」
著者 松尾 豊、塩野 誠
発売日 2014年 10月
価格 1,512円
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松尾先生と塩野さんが、最初から最後までずっとAIについて「対談」している本です。入門書として候補にあげようかどうか悩みましたが、こういった対談スタイルが好きな方もいるので紹介します。この本はAIについて体系的に説明されてはおらず、図解や写真もほとんど無いので、最初の1冊としては適していないとは思います。この本の面白さは、松尾先生の「AIに対する考え」を知れることにあります。松尾先生のファンの方は、先生の発言を講演やインタビューなどで多く目にしていると思いますが、この本では「松尾先生のAIに対する考え」をたっぷり知ることができます。

 

これで16冊全てになります。気になった本はありましたでしょうか。Amazonの「なか見検索」ができる本は、買う前に目次だけでもチェックするといいでしょう。

あなたにピッタリの1冊をきっかけにして、AI沼にハマっていってくださいね。